「オルタネート」感想

ジャニーズのグループ、NEWSのメンバーである加藤シゲアキさんが書いた「オルタネート」。

惜しくも直木賞は逃しましたが、本屋大賞にもノミネートされています。

あらすじ

高校生だけが参加できるマッチングアプリ「オルタネート 」は、今や高校生必須のアプリになっていた。

しかし、調理部部長になった蓉(いるる)はオルタネート に入っていない。

蓉の頭の中は、全国の高校調理部に入っている部員がペアで調理の腕を競う「ワンポーション」のことでいっぱいだった。

しかし、その対戦相手の三浦くんに出会い、惹かれていくのだった。

蓉を中心に、オルタネート信奉者の凪津、蓉と親友のダイキ、家庭環境が正反対であるものの音楽でつながっている尚士と豊が、それぞれに色々な葛藤を抱えながら、関わり合って行く。

この小説のキーになるアプリ「オルタネート 」。

実際今すでに出会いアプリが広がっているし、真剣な結婚相談所では遺伝子レベルでの相性診断もあるというのだから、かなり現実的だ。

私が高校生の頃は、スマホどころか携帯電話だって普及していなかったから、こんなアプリがある時代に生まれていたらどんなに楽しかっただろうと思う。

だけど、こういうことに慎重だったり興味がない層はいつだっているのだ。

そして、どんなに色々な情報から導き出されたデータがあったとしても、それはやっぱりその人の一部分を表したにすぎない。

・・・とは思うものの、人間関係なんて結局は偶然の積み重ねなんだよね。

たまたま隣に座った人、たまたま同じクラスになった人、たまたま同じ学校に入った人。

そんな偶然で、案外一生の人間関係が決まってしまうんだから、生活圏は違っても、自分と同じようなことに興味がある人や、相性が良い人に出会う確率が高まる機会があるんだったらそれはいいよなぁと思う。

でもこの小説では、オルタネートっていう時代の恩恵を受けてはいるものの、それは「手段」なだけで、本当に手にいれたいものはアプリで簡単に見つけられるものじゃないことが描かれている。

登場人物、それぞれが与えられた才能を持っているけど、やっぱりそれぞれが与えられたものだけではない「何か」を掴むために泥臭くもがいている。

結局はいつの時代でも、自分の生の体験からでしか、生きる実感や本当のやりがいは見つけられないのだと思う。

そして傷ついたり悩んだりしながらも、ひたむきに、まっすぐに自分のやりたいことに向かっていくのを追体験することで、そんなことは遠い昔の出来事になった私みたいな中年だって、あらためてハッとさせられる。

装画は久野瑤子さん。

表面にアプリを思わせるホログラムが貼られていて、加藤シゲアキさんの「チュベローズで待ってる」で出てくるゲームに通じるような、世界観を感じた。

「チュベローズで待ってる Age22、32」の感想↓

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