今までで一番感動した映画「シリウスの伝説」

夏休みといえば子供たちを連れて映画に行くのが恒例でしたが、もう子供達もだいぶ成長し、昨日は姉妹で「鬼滅の刃」を見にいったようです。

(「国宝」は私一人で見に行きましたが、姉妹は友達とそれぞれ見にいくそう)

今は配信で色々な映画が見れますが、やっぱり映画館で見るのは印象深いですよね。

私が子供の時に見た映画、今でもはっきりと思い出します。

その中でも一番印象的だったのは「シリウスの伝説」という、サンリオ制作のアニメーション映画です。

その当時7歳前後だったと思うんですが、その衝撃は私の人生観を決めたといってもいいくらい・・心の奥まで深く食い込んでいます。

あらすじについて簡単に説明すると、火の精マルタと水の精シリウスが恋に落ちるのだけれど、お互いは敵同士。

周囲の反対、そして大切な人を巻き込んでしまい、悲劇的な出来事が・・・

という、ロミオとジュリエットみたいな感じなのですが、とにかく映像やキャラクターたちの動きがきれい。

内容も映像も全てが、7歳くらいの私には「感動」とおりこして「衝撃」でした。

この映画を見た後感動が冷めず、自分のお小遣いをはたいてこのアニメの本を買い、クラスメイトにも勧めたいと思って学校に持っていったら、カバーを破かれてしまって本当に悲しかったのを思い出します。

で、「d アニメ」で見つけて数十年ぶりに見たんですが、やっぱりすごいな・・と思いました。

ものすごく繊細に妥協なく制作されているんですよね。

制作期間3年、手作業(ハンドトレス)でなんとセルを9万6千枚描いたとか・・・

今こんなふうにお金も手間暇もかけた映画ってなかなかないのでは。
ただ昔の映像なので、画像が荒かったのが残念!

さて、サンリオは「サンリオ・ショップ」など子供の時すでにキャラクタービジネスのイメージだったから、「なんでサンリオなんだろう?」と思っていましたが、この当時サンリオはディズニー映画のような質の高いアニメをたくさん制作しています。
サンリオ創始者、辻信太郎さんの名前もクレジットされていました。
(やなせたかしさん作「チリンの鈴」の映画もサンリオですが、初期のディズニー映画の影響を感じます。)

子供の時、この映画のように美しくマルタの羽を描きたいと思ったんですが、今みたいにデジタルペイントがないし、あの表現はエアブラシとかじゃないと難しかったな。

もちろんその当時クレヨンや色鉛筆くらいしか使えないので、まあ無理ですよね。

でもこの映画の最後にアニメとは違う独特なタッチで描かれている絵がたくさん出てきて、それも本当に素敵です。

後からわかったのですが、阿部行夫さん制作とのこと。

この方は「シリウスの伝説」以外にも様々なアニメーション作品(「ジャングル大帝」「あらしのよるに」「グスコーブドリの伝記」など)の美術監督や、絵本も制作しているとのことです。

(画像を載せられなくてすみません。もし興味あったらぜひ見てみてください。)

そして・・・!

子供の時に見てから数十年経ち、この映画を絵に描くことにしました。

でも「妖精」の資料を探していると、自分の理想に近い表現がAIでたくさんあるんだよね・・・

なのに、(デジタル)手描きでこういう絵を描く意味ってないのでは? と思いつつ、

「だったらアナログ水彩の方がいいのでは」という気持ちもしつつ、Adobe Frescoでどういう表現ができるのか、試しています。

(制作過程)

構図決め。

細かい描写をしていきます。

手前に花、遠くに篝火を加え、遠近感を出しました。

<完成!>

羽の透明感にこだわりました。

私が子供の時は今みたいにエンタメが身近にたくさんあるわけではなかったけど、1つ1つが本当に印象的で、エンタメというか感動体験をまだ心の柔らかいうちにするということは、本当に大切だなと思います。

だからこそ、子供たちともたくさん映画を見てきたんですが・・・

私が子供の時に感じたほどの衝撃を受けた様子は今までなかったような。

ま、今と昔はエンタメの多さも全然違うしね。

さてサンリオですが、現在ストップモーションアニメで制作した「My Melody & Kuromi」が、Netflix(非英語部門)で世界2位をとっているそうです。

クロミって知ってます?

マイメロディの悪役みたいな・・笑

世界的に人気物だそう。

日本ではそこまでヒットしていないようですが、ちょっと興味あります。(ストップモーションアニメというところが)

サンリオ創始者の辻信太郎さんから、今は孫の辻朋邦が社長を引き継いでいるそうですが、やっぱり辻信太郎さんの情熱・理想を忘れないでほしいなと全くの一般人ながら思います。

だって子供相手の商品が、「利益追求」だけになったら本当に面白くなくなる・・・

やっぱり本当にいいものって何十年たっても人の心に残り続けるし、陳腐な表現ですが「一生の宝物」になると思うんです。

私も微力ではありますが、自分の中の「夢」を表現していければと思います。

挿絵・装画などのご依頼、お待ちしています。

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イラストレーター ササダテ スイ

幸福感あふれる女性や、リアルな子どもたちの姿を描くのが得意です。
抒情的な水彩タッチから視認性の良いくっきりしたタッチまで、幅広く対応。
企業PRイラスト、書籍や雑誌の挿絵・装画制作、教科書挿絵など実績多数あり。
イラストのご依頼・ご相談、ポートフォリオ(女性向け・児童向け)ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。