教科書挿絵制作「生きてこそ〜石井筆子の生涯〜」
令和7年度 中学道徳「あすを生きる3」(日本文教出版)にて、石井筆子さんの生涯を描く挿絵を担当させていただきました。
このお仕事に取りかかったのは約2年半前。
発行まで少し時間はありましたが、ついに形になり、手に取ることができてとても嬉しく思います。
(ちなみにこのタッチは今は翠唯(すい)というペンネームでお引き受けしています)

私は初めて「石井筆子」さんのことを知りました。
明治の女性としては稀な近代教育を受け、語学に通じ、華族女学校の教師となり…
その後、娘たちや夫との別離、学校の火災など、想像を絶する困難に何度も直面します。
それでも筆子さんは、残された子どもたちのために、そして障がいのある子どもたちの教育のために、歩みを止めませんでした。
「こんな人がいたんだ・・」と深く心を動かされました。

(「鹿鳴館の花」と言われていた筆子)

(学園の子供達と筆子、亮一。)

挿絵制作では、筆子さんの優しさと芯の強さを表現できるよう表情には注力いたしました。
空を見上げる場面では「希望」を象徴するように広がりや光を意識しています。

このイラストの資料写真を撮る際には、次女に協力してもらって空を見上げる姿を撮影したのですが、
その瞬間に私自身が子育ての最中に感じていた孤独感や閉塞感なども思い出され、成長した子どもが協力してくれている「今」を感慨深く思いました。
もちろん、筆子さんが突き落とされたどん底や苦労・成し遂げた偉業を考えたら足元にも及びません。
だけどそんな、本当の「偉大な人たち」を伝えるお手伝いをイラストでできたということは、自分なりの困難を乗り越えてきたかいがあった・・!と言えるような貴重なお仕事でした。
彼女が残したもの、耐え抜いた困難、そして未来への希望。
道徳の教材として、子どもたちが「生きる力」を感じ取る一助となれば嬉しいです。
この教科書にはほかにも多くの魅力的な物語とイラストが収録されています。
ぜひ手に取っていただければと思います。
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イラストレーター ササダテ スイ
抒情的な水彩タッチから視認性の良いくっきりしたタッチまで、幅広く対応。
企業PRイラスト、書籍や雑誌の挿絵・装画制作、教科書挿絵など実績多数あり。
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