モリコーネ 映画が恋した音楽家
今日は渋谷のBunkamura ル・シネマに、2020年に91歳で亡くなったエンニオ・モリコーネのドキュメント映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を見にいってきました。
私がエンニオ・モリコーネの音楽を初めて知ったのは、60年代のイタリア映画のサウンドトラック。
1990~2000年ころ、渋谷では60〜70年代のリバイバル映画や音楽・ファッションが流行っていて、エンニオ・モリコーネの他にもピエロ・ピッチオーニやアルマンド・トロヴァヨーリ、フランシス・レイなど、ジャケットもかわいいサウンドトラックがたくさん販売されていたのです。
私は60〜70年代のヨーロッパ・ラブロマンス映画のサントラが大好きだったんですが、中でもモリコーネの「Metti,una sera acena(ある夕食のテーブル)」が大好きすぎて、本当に何百回聴いたかわからないほどなので、モリコーネの映画が上映されるのを知った時は絶対に行こう!と思っていました。
さて、映画の話に戻りますが・・・(少々ネタバレありです)
もともとトランペット奏者になるべく育てられたエンニオ・モリコーネでしたが、次第に作曲の道に導かれていきます。
「荒野の用心棒」などの西部劇の音楽で一躍有名になり、その後彼の音楽を求めるたくさんの映画監督と幅広い映画音楽を作り上げていきました。
単なる映画の「添え物」扱いだった映画音楽は、彼の登場で、とても重要な要素だと認識されるようになったんです。
映画に彩りと深みを与えて、見た人に強烈な印象を残す・・・
「添え物」どころか、モリコーネの音楽がついたことで「歴史に残る名作」になった映画も多々あります。
西部劇のようなゴリゴリの「男の世界」でも、どこか哀愁やロマンが感じられ、また悲惨な光景や過酷な運命の人間を描いた映画であっても、人生の美しさや素晴らしさを感じさせるんですよね。
ですが「映画音楽は真の音楽ではない」と音楽家や批評家たちには冷遇され、ハリウッドには何度もノミネートされるものの無視され、孤独や困難を感じていた時も長かったようです。
まさか、あんなに素晴らしい音楽を無限に作り出す人が、そんな目にあっていたなんて!
でも大衆に人気がある人を、批評家などが一段下に見るという風潮って昔からありますよね〜。
でも若い時から現代音楽作曲の活動も続け、晩年はクラシックの作曲もたくさんしています。
ついにモリコーネの音楽の素晴らしさを批評家・音楽家もようやく認め、晩年にアカデミー賞もとり、世界中のたくさんの監督やファンに賞賛されるという、まさに彼自身が作った音楽のような生涯でした。
この映画、最初はほぼ語りで、字幕も早いし(しかも白い文字に白バックだったりする・・・)ちょっと理解できなかったりもしたんですが、後半から好きな曲がかかったり、どういうふうに映画に生かされていたのか知ることができたりで、本当に感動でした。
著名なミュージシャンや監督がインタビューに応じているので、そこも必見です。
最近映画は、子供たちと一緒にアニメを見にいくという感じでしたが、やっぱりこういう映画を映画館で見るのって良いな・・とつくづく思いましたね。
ちなみにモリコーネの曲はiTunesでも聴けます。
興味沸いた方、ぜひ聴いてみてくださいね。
「ニュー・シネマ・パラダイス」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「1900年(邦題:海の上のピアニスト)」「死刑台のメロディ」「アンタッチャブル」など多数の名作の映画音楽を手掛けているので、モリコーネの名前を知らなかったとしても、聴いたことあると思います。
私がおすすめするのは、「モリコーネ60」に収録されている先ほども書いた「Metti,una sera a cena」と、「La Califfa」「Chi Mai」です。
機会があったら、ぜひ聴いてみてください。
映画を見終わってから、水彩で彼の肖像画を描きました。
一見普通のおじいさん、でも彼の中に広がる無限のメロディー・・・
そんなイメージで描きました。
メイキング動画は、インスタグラムのリールに載せています↓
https://www.instagram.com/reel/Cnjv-TLgAPe/